夢のみずうみ村物語 その29 夢のみずうみ誕生秘話②

土地探しとラ・ベルヴィ②

結局、寄贈話しは流れてしまいましたが、実はこの話しが持ち上がったこと(建設に向けた直接的行動の第一歩)が夢のみずうみ村を生み出したのです。動いたからです。動くきっかけがこの寄贈話だったわけです。

その寄贈の話しに伺った帰り道は、「○市○町で夢のみずうみ村が始められる」という熱い思いから、一転して、「やはり無理でした」という結末ですので、相当落胆を感じるはずなのですが、不思議なことにそれほどショックではなかったのです。その足で、話しの結果を心配していた一級建築士の村上さん(当時の夢の湖舎副理事長)に電話報告しました。すると、

「○市○町なら、700平米、300万の農地が売りに出ていたからきいてあげよう」

という返答があったのです。妙な感動でした。手持ちの資金で土地が買えるよという思いです。ショックから一転、また巣作りが一歩見えてきたのです。

電話の結果を待ちました。すると、

「もう、売れたって。もう少し早くいえば良かったのにと不動産屋からいわれたよ」という返事。ここでも、またショックでした。

しかし、間違いなく、こうした歩みをしていく過程で、目の前に“すみか”が見えてきたのです。

巣作りができるという感激から一気に暗闇に落ちるというものではなく、不思議なことに灯火が見えて来たのです。具体的には、人の輪が広がれば“すみか”が見えるという意識が生まれてきたということでしょうか。さらに生々しく語れば、お金を貯めればそのうちいつか、どこかに場所は生まれるのだという実感がしたのです。ですから、今でも、寄贈話を持ち込んで頂いたY氏には本当に感謝申し上げている次第なのです。

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夢のみずうみ村物語 その28 夢のみずうみ誕生秘話①

ラ・ベルヴィ移転と土地探し

夢のみずうみ村を作りたいという情熱(思い)と、それを具体的にいかにつくるかという意識(これも思い)との間には相当の開きがあります。施設づくりをしたいという思いをなさっている方は多いはずです。

しかし、現実にはどこからどういう風に突破口が開かれていくか迷路に入って苦悩されている方が相当数あります。思いは募るのですが、具体的に実現に向け一歩踏み出すまでには現実的な壁があります。どういう方向に第一歩を向かうか、それを決める壁です。

近道は動くことです。理屈をこねず、まず動き出すことが基本であることに間違いはないと思います。動きながら考えるしか手はないと思います。

障害児をお持ちのお母さん方の集まり「ラ・ベルヴィ」が施設づくりを意識して、お菓子作りや、バザーなど地道に活動を始め、800万円近い資金集めをしていることは村づくりの大きなきっかけでした。(結果的には、夢のみずうみ村に一部寄付、一部借用させて頂きました) 親たちの施設づくりを支援することと夢のみずうみ村建設運動とが合体するという発想でした。

何回かの定例会を開いたりした後、まず行動すること、そのきっかけとしてミュージカルを持ち出しました。これも唐突でした。夢のみずうみ村はどういうものか、ミュージカルをみんなでやりながら、啓蒙し、資金集めも一方でできないかという発想でした。メンバーの中に亀裂が生み始めたのは皮肉にもこのミュージカルでしたし、不思議なことに、こうした動きの中にラ・ベルヴィの移転話しが持ちあがったのです。

ある日当然、ラ・ベルヴィ代表の野村恵子さんから、土地の寄贈話があるよと打ち明けられました。

「1000坪の土地を寄贈して頂ける話があるけど、ラ・ベルヴィでは大きすぎるので、夢のみずうみ村をそこに作らないか」というものでした。ラ・ベルヴィのメンバーは、一部の方々が夢のみずうみ村のメンバーでもありました。

夢のみずうみ村広報部長である野村周平君とお母さんの恵子さん、そして私と3名とで、土地の寄贈をお申し出頂いた寄贈者の方の実家を訪問させて頂きました。

そこでの出来事は、

*   土地は寄贈ではなく貸与とすること

*   広報部長の周平くんは脳性麻痺で身体が少々不自由ですから、和室の畳部屋に身体を投げ出して話し合いに参加しました。言葉ではなく身体を張って訴えたという感じです。それに対して、

「こういうお子さんの施設づくりは国が責任をもたなくてはね。あなた方がNPO法人を作ってやられるとは・・・、福祉は遅れていますよ」という同情の声かけでした。

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夢のみずうみ村物語 その27 夢のみずうみ村歴史づくり

夢のみずうみ村歴史づくり

本づくりを思い立ったのはいつものように衝動的です。

出版を思いついたのは拙著「園芸療法入門」(この本と同じく夢の湖舎出版部発行)と、臼田喜久江さんとの共著「片手でつくる生活の知恵袋」(青海社発行)を発刊した頃だと思いますがはっきりしません。

その頃は、夢のみずうみ村の増設工事が始まったけれどもスムースに進まず、資金繰りを始め、ありとあらゆることで頭を悩ませていました。

ところが村のスタッフは、仕事が終わり夜遅くなっても歓声を挙げ、大騒ぎしながら新しい村づくりに激論を戦わせているのです。このすごい連中(職員)のエネルギーを記録に残そうと、ふと思いつきました。

同時に、利用なさっている皆さん方の生の声をこの際伺ってみたいという思いも浮かんで参りました。さらに、利用者のお一人である臼田喜久江さんと本を作ったことが大いに刺激になりました。夢のみずうみ村の片手で料理教室の師範代である彼女の本ができあがると、利用者の方々が一様に大喜びされたのを拝見しながら、

「利用者さんと職員のみんなで本を作ろう」と直感したのでした。

その時思いついたことは

*いかにして施設づくりに至ったか

*利用されている方々はどういう思いでここに集まって来られるのか

*職員はどういうきっかけで夢のみずうみ村の仕事に就いたのか

*通所サービス(デイサービス)とは、どのようにあるべきか

等々について、分担して書き出してみようというものでした。

こうした思いつきの企画であったにもかかわらず、まず利用者さんが早速に原稿を寄せられました。利用者さんの生原稿を読み、涙をにじませながら回し読みする職員たちは、作ろうとする本がいかにすばらしいかを実感しながら、原稿書きに追われました。みんなの手になる本なのです。

なお、この本は、村の歴史の創世記から、第二期造成工事開始前までの話です。

(注:この本の話は、当時の構想であり、出版には至っておりません)

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夢のみずうみ村物語 その26 タンス街道 膝栗毛

タンス街道 膝栗毛

リハビリテーション歩行の最終目的は実用歩行です。実用歩行の第一歩は家庭内の移動獲得です。壁に「もたれかかり移動」ものに「寄りすがり移動」何でも有りです。

写真は、夢のみずうみ村山口デイサービスセンターのタンス街道です。

利用者の方々の個人荷物入れ(タンス)をもたれかかったり、タッチしたりして移動する道(街道)が作ってあるのです。街道を、今日は○○周したよと、東海道膝栗毛よろしくひたすら歩くことを日課としてなさる方があります。だいたい二十周ぐらいがよく耳にする街道周回数です。

手でタンスを押さえる押すこと、肘をもたげることがあっても、決して握らない。これがコツです。

家庭でも、こうしたタンスの角を持ったりさわったりしながら移動なさるわけです。

病院や施設の広い大きな環境ではこうしたタッチ移動などできないようになっています。ですから、手すりが必要であり、その手すりにすがって移動することを学習させられます。それがまずいと考えています。

そうしないためには夢のみずうみ村のように雑然とした狭い環境のリハビリ室や病棟食堂あたりが用意される必要が生まれます。こうした視点はこれまで無かったので結構やってみた結果として分かったことです。こうした方法で急性期リハビリから実施することを関係者に問題提起したいと考えています。

施設や病院でしか行えない訓練は自宅復帰を遅らせると思います。自宅でできる方法をご指導するということが肝心です。村で行っている方法は写真でご紹介しますと

トリムコースの「階段横移動の稽古」「雲の上歩行」があります。

雲上歩行とはよくぞ名付けたと自画自賛したいところです。ベッドの上を歩くのです。

「畳しかないぞ 我が家は!」とおっしゃる方には座布団を引き詰めて歩いても結構でしょう。案外、畳(床)からマットの上に立って乗っかかることがまず難しいのです。それから、一歩ずつ前に行くことの難しさ。バランス訓練を家でやろうと思えば、ベッドの周りで転倒しても大丈夫なようにする工夫は必要でしょう。

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夢のみずうみ村物語 その25 上肢・手依存型から 二の足バランス依存型に

上肢・手依存型から 二の足バランス依存型に

一般的に移動困難状態から、最終的に歩行能力獲得までの過程では、「二本足で立つこと」「平行棒の中で歩くこと」「平行棒から出て歩くこと」が行われます。

夢のみずうみ村では、手で棒状のもの(通常は手すり)を握ることが良くないと考えております。ぎゅっと力一杯握って手すりを命綱同様に依存して、自分の体重の不安定さを全て補おうとすることによって歩行を獲得するための第一歩を踏み出すことになります。そういう状態を「上肢・手依存システム」と呼んでいます。

本来我々は赤ちゃん時代歩き始めたときから、二本足と自分でバランスを保って歩行してきました。それを名付けて「二本足・バランスシステム」といいます。このシステムで歩行不能状態(例えば、脳卒中による障害)になる直前まで歩いていたわけです。

ならば、回復の過程で、まず、誰かに援助してもらいながらでも、壁に寄りかかって立つことやテーブル・家具に持たれかかって二本足を地につけることをやること、その後、もたれかかり移動、寄りかかり移動をすればいいと考えます。言い換えれば、手すりを絶対使わない、平行棒の中に入らない稽古(訓練)をすることを推奨しています。

ご批判もあれば、お受けします。

夢のみずうみ村では、他施設、病院で移動全介助の方がどんどんもたれかかり移動、寄りかかり移動を獲得されて屋内移動自立を獲得なさるのです。事実としてこうした手段を推奨します

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夢のみずうみ村物語 その24 ONE STEP ONE GOODS 環境

ONE STEP ONE GOODS 環境

なるべく、ご自分お力で移動できるようにというリハビリテーションの基本的なニードにお答えするために、村では ONE STEP ONE GOODS(ワンステップ ワングッズ)と名付けた環境づくりを意識しております。

歩いて移動する一歩先に、さわるもの・すがるもの・寄りかかるものが、必ず最低1つ以上ある環境 のことです。

写真を見てください。テーブルや椅子が有り、今のような環境です。ここを、杖を持たずもたれかかり、寄りかかり移動するメニューを「リビング2周」といいます。

写真をご覧頂いて想像できると思いますが、村には手すりがありません。つけないのです。その代わりに、先程の、 ONE STEP ONE GOODS でがんばって頂こうという案配です。その歩が移動(歩行)の自立獲得が早いのです。

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夢のみずうみ村物語 その23 杖・車いす はずし儀式

杖・車いす はずし儀式

杖歩行や車いす移動をなさってこられた方に村ではある検査をさせて頂きます。壁により掛かって、片足をわずかでも、一瞬でも地球から離す(すなわち足を浮かせる)ことができれば、どなたも、杖なし歩行、車いすよさらば移動ができると考えさせて頂きます。自分の体重を一瞬でも、支えることが可能であれば、壁にもたれかかったり、家具や物に寄りかかって支えながら移動することができるのです。
杖をはずそうという決意は脳卒中後遺症の方々にとっては大変な決断です。その決断を促す方法として 杖はずし儀式を計画しています。

「○○さんがこれから杖をはずされまーす」

と、大音声を挙げるだけのことです。

はずされた杖をしまっておく場所が写真の公衆電話ボックスの中です

これでは今ひとつ儀式というにはものたりません。この際、新たに儀式化しようと思います。正面玄関脇にでかでかと 「祝 ○○さん 杖はずし挑戦記念日  (年月日)」というような垂れ幕を掲げようと思っています。

甲子園に地元の高校が出場すると市役所正面玄関に登場するあの手の垂れ幕です。

そうしますと、当然、「祝 ○○さん 杖はずし自信獲得記念日  (年月日)」があっていいですね。

いろいろ名記念日を作りたいと思います。

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夢のみずうみ村物語 その22 通所サービスの利点を活かそう

通所サービスの利点を活かそう

最大の特徴は自宅から通ってきて、その日の内に自宅に帰られるということです。

当たり前のことをいうなとお叱りを受けますが、実は、この当たり前のことを活かそうという発想に立たない施設が多いのです。この特長を生かすとすれば、

1.通所施設で体験したことを、その日の内にすぐに自宅で試行してみることができます

2.これほど ADL(日常生活動作)の学習に適した環境は無いのです。日常生活動作の方法を伝授したり、学習し、自宅でその日の内に実行してみる。うまくいかなかったら、次回の通所の時に再学習し修正することができる

3.病院や入所施設では、自宅とは全く異なった環境でのADL学習となります。そこで可能となっても、家に帰ってうまくいくか否かは別の努力が必要です。ところが通所サービスではその日の内に決着が付いてしまうのです。

こうした特徴を持つ施設として、夢のみずうみ村は「宅配ビリテーション施設」と呼んでいるのです。

園芸教室では、つくったものを自宅に持ち帰ります。枯れてしまったら村にまた持って帰ります。送迎の順番を換えたり、送迎車の空間を上手に利用することによって宅配が可能となります。

木工作業でご自宅の庭に出入りする木戸をこしらえて持って帰ります。ご自分の家で使うものをつくるのです。

必要とあらば、軽トラックの荷台に作られたもの(写真は自宅の門)を運ぶと共に、送迎をいたします。

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夢のみずうみ村物語 その21 インフォームドコンセントが不十分

インフォームドコンセントが不十分

様々なサービスをして頂くに当たって、ご本人ご家族に事前に十分説明し、納得して頂く必要があります。

夢のみずうみ村で説明を要するところは以下の諸点です。

1.夢のみずうみ村には手すりがありません。

one step one goods(その24で説明します)の考えによります。転倒の危険がありますが、その分、歩行の自立に早道だと考えております。

2.バリアーも随所にあります。ご家庭で遭遇なさる可能性のあるバリアーを意図的に設置しております。バリアーを克服する対策を身につけて頂き、ご家庭でもスムーズな動きをして頂けるようにするためです。

3.危険がいっぱいです。ご家庭にある危険は施設に置いても同様に存在させています。最低限の注意能力を維持することを目的にしております。

4.夢のみずうみ村では保険に加入しております。利用しないことが最善ですが、万が一がございましたら活用することとなります。

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夢のみずうみ村物語 その20 施設ハード面の特徴 施設内空間の分化という発想

夢のみずうみ村 施設ハード面の特徴

施設内空間の分化という発想

施設の大きさは千差万別です。夢のみずうみ村山口デイサービスセンター敷地面積は    約16,600㎡、延べ床面積は約2,980㎡です。

デイサービスのみの面積としては全国的には最大級かなあと思っています。大きければいいというものではありません。たとえ狭くても、利用空間を分化して考える必要があります。

施設のエリアとしては、必須エリアというべきものがあります。

【玄関・入りエリア口】 【トイレ・浴場エリア】【いつもの座るエリア(定位置)】

【食事エリア】【集団活動エリア】【手工芸エリア】【個別リハビリエリア】【屋外】

こうした各エリアを何回移動するようにプログラムを組むかということを意識する必要があります。いつもの定位置と呼ぶべき場所(位置)がどなたにもあるはずです。そこは、デイサービスに来られた場合、しばしば腰掛けたり、寝たりしされる場所です。その定位置から、各エリアに移動し、また戻ってくる移動の往復の回数を意識するとすれば、一日に何回往復することになりましょうか。

図を見てください。

通常の玄関入り口エリア・トイレ浴場エリアを除くと、集団活動エリアと、いつもの定位置あたりを往復する程度で他にはほとんど動かないデイサービスもあります。

そういうデイサービスは、いつもの場所で食事も、手工芸なども皆一緒に行うという状況です。そうした場合の施設内移動はほとんど限られた少ない移動本数(回数)作業活動場所や手工芸の場所があちこちに散在すればするほど活動になります。

仮に、図にあるように、作業活動場所が2つ、手工芸の場所が3つ増えたとしますと、それぞれの場所間の移動は多岐にわたり、移動本数も増えてきます。難しく考えることはありません。施設内のあちらこちらでプログラムを行うことにすればいいのです。そういう限られた空間、壁面、玄関前など 2・3が机を囲んで活動できるような場所を見つけるのです。廊下の片隅でもいいのです。どこでも利用してみましょう。こうした空間の分化による活用は 利用者の方の活動量をアップするのに役立ちます。

玄関から施設に入る

いつもの場所に落ち着く

集団の場所に行き、朝の集い・プログラムを行う

個別リハビリの場所に行く

手工芸1の場所で切り絵をする

いつもの場所に戻り昼食まで待つ。昼食

トイレに行ってくる

手工芸2の場所に行く

いつもの場所に戻っておやつ 帰り支度

玄関から帰る

こうした移動の流れを矢印でおってみましょう。場所の分化が行われず、同じ場所で様々な活動をしても、移動する機会が少ない分活動量は少なくなります。要は、移動することに目的をつくるということになります。

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