小宮山洋子厚生労働大臣 防府デイ ご見学

小宮山洋子厚労大臣が225日夢のみずうみ村防府デイサービスセンターに見学に来られた。私より30センチ程度小柄でいらっしゃるが、スマイルは変わらず、美人アナウンサーでいらした当時の面影のまま、私の目の前に登場された。同じ年であると我がスタッフが教えてくれた。信じられないお肌の艶のよさだ。

一昨日と昨日、NHKテレビの衆・参と続いた予算委員会での映像で拝見していたので、強行軍での旅程であろう。テレビ画面からまさに登場である。

 大臣は謙虚であった。利用者さんの前では、必ず、目線は、同じか下にするべく、腰をかがめ、床にひざを折り、低い姿勢を保持された。それがごくごく自然になされるのがすごい。うなずき、相づちを打たれながら話を聴かれる。この方はカウンセラーではない政治家である、大臣である。感動した。やはり私は小宮山洋子さんのファンでよかった。

 小宮山大臣とは二度目の顔合わせである。そのことをお話したら、「当時は大臣ではなかったですよね」とお答えいただいた。日本アビリィティーズ社の伊藤会長の手合せで、晴海のビッグサイトの展示場でお会いしたのであった。それ以来である。

 厚労大臣が、夢のみずうみ村に見学に来られること自体が画期的である。ありがたい。

見学の最中から、「利用者さんの笑顔が素敵ですねえ。表情が生き生き、皆さんされている!」

という発言を何度も耳にした。圧巻は、「食工房」と呼んでいる場所で、食パンをオーブンから取り出した瞬間の場面に遭遇された時だ。いろいろ利用さんと会話された。相当感激された様子であった。

 利用者さんと大臣はあちこちの場面で会話を交わされた。パソコンを打っておられた方、麻雀ゲームをされていた方、パワーリハビリの訓練器具で手足の運動をしている方、パッチワークでバッグを作っておられた4人集団、園芸療法をされている方々、木工ろくろでお盆を作っておられた方など、ごく自然に会話が生まれた。利用者さんの方も、特別な振る舞いでなく、いつも通りの感じで語りあわれた。

大臣があれだけニコニコ顔で回られたことが嬉しかったですねと、山口県庁から付いて来られた役職の方も、また、マスコミ関係者の方々も、異口同音の反応であった。嬉しい限りである。

来年、世田谷で始める予定の「住民参加型通所介護施設」の話に及び、ご当地が大臣の選挙区であるということや、大臣のお供をしてきた厚生労働省秘書官が、私の中学高校の後輩であったことなど、「ご縁がありますね」という話になった。実に温かい見学であった。

 

今日の見学予定は、施設玄関で2時半にお迎えし、3時半に見学を終え、10分間、ぶら下がりというマスコミインタビュータイムをとり、340分にお帰りという、スケジュールであった。ほぼ予定通りで終了した。

 それにしても、大臣が移動されるということはすさまじい警備である。大臣にいささかなりともお怪我でもあれば、大変なことになるのだろう。驚くほどの警備体制が敷かれた。驚いた。玄関で大臣より1時間も早く警備担当の刑事さんが大勢着かれた。厳しいムードを醸し出される。警察の方だと誰もが直感できるような方たちである。福祉の現場の方では絶対にないとわかる。餅は餅屋だ。これでなくては警備にならぬ。

 事務次長が、何度も、事前に施設内図面を提示し相談を重ね、どういう経路で大臣が回られるかを詳しく下見され、予定順路ができあがっていた。今日私は初めてそれを見た。

 「順路通りにいかないと警備の方が困られますから、いいですね」と事務次長がうるさく私に言う。これだけ、がんじがらめに、厳しく言われると、私の虫が騒ぐ。「言うとおりにできるはずはないよ。現場は生きものなのだよ」と思い、思わず言葉を発した。

 「見学は施設内だよ。道路上ではない。なぜそんなに警備する必要性があるのかい?」

 事務次長に食い下がるが、県庁や労働局や警察の方々と何度も打ち合わせしてきた立場としては、私の発言は許されない範疇らしい。「だめです」と一言。当然の発言であったのだろうが、私には合点がいかないまま、大臣を迎えた。

「包丁や、のこぎりなどを棚の下に閉まっていただけないか」と警備のトップの方が、大臣がお着きになる直前に玄関先でおっしゃった。トップが、トップである私への依頼である。

「我が施設はバリアありの施設です。危険なものありの施設ですから、隠す必要性がないし、そうすること自体が理念に反します」

と申し上げた。それしか言いようがなかった。隠そうが隠すまいが、どうでもいいと瞬間思ったが、それは、絶対まずいと直感。譲れない私の部分であった。

「スタッフをその近辺に重点配備しましょう。わかりました。結構です」

すんなりご了解を頂いた。よかった。

もう一つ、警備の方からおしかり(?)を受けた。どうしても順路を変えて、食パンづくりのオーブンから取り出すグッドタイミングに大臣が遭遇されるようにしたかったのである。私は勝手にコースを変えようとした。すぐに警備の方から、「それは困る。事前にだから何度も打ち合わせをさせて頂いたではないか」と食い下がられた。「事前の順路案に基づいて警備の方々,(総勢12名程度ではなかったろうか)それぞれに配置業務についているのだから、変更はやめてほしい」と言われた。

貴重な大臣のご訪問である。パンの出来上がり場面に遭遇されるか、パンを取り出した後の、においだけが残るオーブンを見て、そこを通過されるか。私は覚悟を決めた。

責任を私が負えばいい。

「すいませんが、コースを少しだけ、さかさまにしていただきたい」と申し出た。

現場のトップの方は、まさに刑事さんという凛々しい方であり、妥協を許さない厳しさを前面に持たれている方である。私は拝顔せず、ただ深く頭を垂れてお願いした。

良いともダメとも回答がない。そのことが彼の回答であると判断し、私はそのままコースを変えた。それが見事に図にあたり、ベストタイミングであった。パンが取り出された瞬間に、大臣が出くわすという展開となった。食パンの先生役である利用者さんの吉岡さんも、大臣にぜひ見てほしくて、必死にタイミングを図ってくださったとのことである

私は、あの気難しそうだった刑事さんに、このブログ上で御礼申し上げたい。事前相談し双方が確認したうえでの順路である。私は、その結果だけを事務次長から聞いてそれに従わなければならない立場でありながら、それを勝手に無視したのである。現場警備責任者の方は、当然、「それは困ります」とおっしゃらなければなるまい。それを無視した私を、無言で対処された。胸の中、腹の内は、相当煮えくり返るものを私が与えてしまったと察して余りある。その刑事さんは一番最後に村を離れられた。車で帰られる時、私はただただ感謝の気持ちで深く頭を垂れた。ありがたかった。警備される立場はかくあるものだと勉強になった。

大臣がお見えになるといっても、我が施設は、せいぜい、普段より丁寧に掃除したぐらいで、特別のことはなく、普段通り。当日の朝、利用者さんに、送迎車の中で「大臣がお見えになります。カメラや写真に写って困る方は、その旨おっしゃってくださいませ」と通常のマスコミ対策の手配。

大臣と一緒にぞろぞろ大人数が、利用者さんの活動されている場面に、ずかずかと入り込むので、その都度、スタッフがお断りを申し上げる。日頃から、見学者が多く、皆さん慣れておられるからだろうか。普段と変わらない。それが私は一番うれしかった。大臣もそういう反応でいらして、特別な感じではなく、ざっくばらんに、日頃の会話をされた感じであった。

「こういう夢のみずうみ村のような施設を、どんどんあちこちに作りたいですね」と、大臣がマスコミの方々に語っておられるのを、そばで聞いた。うちのような施設が本当にあちこちにできるといいなと今日も思った。

警備の方々も「尋常ではない施設」に大臣がやって来られたな、と、大いに実感を持たれたと思う。今日はそういう楽しい、素敵な日であった。

 

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