第7回 夢のみずうみ楽会 (2日目)

 二日目は、初日ほどの参加者数ではないだろうと思ったら大間違い。ちぎり絵の体験をしていただくために、テーブルを25台配置していたのだが、それが足りなくなった。100名を超えた証である。急きょテーブルを持ち出すような始末。
 ちぎり絵作家、高澤裕美さんにご登壇頂いた。氏は、秋吉台で有名な山口県の秋芳町(現、美祢市)が、芸実家を招聘し、芸術活動を奨励する「まちづくり」をしようとした際に招かれたお一人であった。当地で、脳卒中を患われた。そのまま当地に残ってリハビリをされておられた延長線上で、夢のみずうみ村にお越しになった。
 ひょんなことから、高澤さんが、ご高名な芸術家であることを総務課長が知った。芸儒家百選という分厚い専門誌に、ちぎり絵作家として掲載されている氏の名前を知った。
 「夢のみずうみ村で ちぎり絵を利用者さんにご指導いただけないか」とお尋ねしたら、快くお引き受けいただいた。ただし、「片手でできますでしょうか」と尋ねられた。
 作業療法士である私の出番だ。重しを置いて和紙を切ってみた。うまくいかない。わしは案外と固い。水彩画の筆で水をつけて目指す形よりやや大きめに塗り付け、その後であれば、たやすく和紙がちぎれた。高澤さんは、この方法で、片麻痺になられた以後、それまでよりも多くの時間をかけてではあるが作品を発表された。その作品は、国連のエイズ撲滅キャンペーンで賞をとったり、南アフリカの文化勲章を受けたりと、専門家の間では、片麻痺になられてから、さらなる評価を受けられたようなことだと批評文を拝見した。
 今回は、「片麻痺でもできます ちぎり絵の世界」として、片麻痺の方はもとより、参会者は非利き手で、和紙に挑戦していただくことにした。白紙のはがきに、用意した和紙で花を描いていただくものである。花は、皆さんがわかりやすいのでチューリップを高澤さんは提案された。
 ちぎり絵は、はり絵、塗り絵のように、あらかじめ輪郭が描いてあるものではない。全くの白紙に絵具等で絵を描くように、和紙を張り付けるものである。貼りつけた後、串を使って、はっきり線を作り出すやり方など、いくつかのテクニックを教わった。2台のカメラを使い、3つのスクリーンで手元を大写した。
 チューリップ以外の花を作ったり、背景まで入れたりと、それぞれ見事な自作に酔っていたと感じた。
 そのあとは、「片手で料理教室」「片手でゴルフ」「陶芸:フクロウづくり」の3つのプログラムに分かれて、各自が好きなコーナーに出向いて挑戦する趣向。
 片手で料理教室は、料理教室の師範、臼田喜久枝さんに今回もご登壇頂いた。もう一方、体調を崩されていた師範代、米倉さん。この会にやって来ることを目標に、体調を回復され、見事に浦安に来られ指導していただいた。臼田師範は、この日のために、そば寿司とお稲荷さんづくりを用意。いつもの、3本釘を打ちつけたまな板を使って、そば寿司を片手で巻く。洗剤のキャップにすし飯を押し込み、握り状にして、それをアブラゲに包んでイナリ寿司の完成。
 片手で自分が作れる驚き、それを自分で食べておいしい感動。にぎわった。
 片手でゴルフは、隅谷さんのご指導。彼は、第3回の演者として、楽会に登場して、片麻痺ゴルフを紹介していただいた。その後、沖縄、久志岳カントリークラブ(沖縄)で開催した「夢のみずうみ杯片麻痺ゴルフコンペ」を運営していただき、そのまま、浦安デイサービスセンターが開設すると同時に職員になっていただいた経歴を持つ。
室内で打っても大丈夫なマジック付ゴルフで、通常のクラブを振りまわす方法で体験できる。彼が、今回も、実演しながら、参会者の多くに指導した。
後日談であるが、「来年の第3回片麻痺ゴルフ大会(沖縄、久志岳カントリークラブで予定)は、参会者が増える実感がしました」とのこと。

このブログをお読みいただいている方で、周りに片麻痺の方々がいらっしゃったら、経験者はもとより、未経験者でも興味をお持ちの方にぜひご紹介を頂きたい。

フクロウは幸運をもたらすのだという。防府デイ、山口デイ、いずれにおいてもよく作られている作品である。 講師の藤井美智子さんに、急きょ依頼したら、快くお引き受けいただいて実施したメニューである。萩焼の粘土で、作品は各自、心を込めてお作りになった。焼く時はどうするかということになった。急きょ、私が、野焼きの方法を紙にマジックで書きつけた。
業務用トマト缶(何でもいいが大きめの缶)の蓋を切り取り、落し蓋みたいに周りを狭める。缶の底に石ころを数個置き、落し蓋をおく。缶に風口を開ける。窯の用意はそれだけ。缶の中にフクロウを入れ、葉っぱ、細木、少し硬めの木を適当に加えながら、火で丸焼きにするわけである。注意すべきは、燃えるものを缶に入れる時に、作品に触れないことだ。どれだけの人が、素焼きのフクロウを完成させ満足されるか。私のにわか野焼きメモをコピーしてお持ち帰りになった。

最後に、全員が一堂に会した。今回の楽会。初日の舩後さんの話をまた私はした。
「生きていることがすばらしい」ということを再確認した体験を参会者全員ができたからだ。運営した職員一同、一人ひとりが同じく感動したことも後日談で聞いた。
素敵な第7回の楽会である。第8回は鹿児島で行うことを決めた。
舩後さんも、来年、鹿児島でハッピーミーティングをしていただくことを約束した。

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