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夢のみずうみ村物語 その11 「生活を楽しむ」「生きていることを味わう」を考える

「生活を楽しむ」「生きていることを味わう」を考える ADLとQOLという横文字が出てきます。専門家の方は 図をご覧ください。 ご存じない方のために基礎的な説明を少ししておきます。 日常生活動作、Activities of Daily living(アクティビティーズ オブ デイリー リビング)の頭文字をとってADL、Quality of Life (クオリチィー オブ ライフ)の頭文字を取りQOLと医療・保健・福祉の人たちは呼んでいます。 ADLとは、日常生活を過ごしていく上で、誰もが、繰り返し、毎日行う、基本的な動作能力のことです。食事動作・排泄動作・移動動作(歩行を含む)・入浴動作・整容動作(せいようどうさ:洗顔・整髪・歯磨き、化粧など)・コミュニケーションなどがあります。QOLとは人生の質、生きがいほか訳したりしますがどうも日本語に適訳がありません。そこで この2つを夢のみずうみ村では次のように解釈しました。 夢のみずうみ村は「あなたの文化的生活」を創る場所だ 図でお示しした「文化的生活」とは元気に生きていく楽しい生活ということになります。安全・安定・安心した生活こそ文化的生活ということがいえます。そういう暮らしをしていると生きるエネルギーが生まれてくるのです。 ならば、夢のみずうみ村は生きるエネルギーの再生産の場所だということがいえるのです。 「生きるエネルギー」ってなんだ 生きていくこと、生きていることを味わえること、何らかの活動すること、ADLを進めるエネルギー、これらすべての根底にあるもの、それは意欲です。意欲とはわかりにくい実体です。心の働き、意志の働きというようなものでしょうかねえ。生きていくための基本エネルギーのことですがどうもその本性が見えにくいのです。 あなたはどのくらい生きるエネルギーがあるか測ってしんぜようといわれたら喜んで測って欲しくなりませんか。

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夢のみずうみ村物語 その10 リハビリ漬け

「リハビリ漬け」「機能訓練漬け」という言葉をご存じでしょうか。 リハビリとは、白衣を着た専門家がベッドに横たわった利用者(患者)さんに、手足を曲げのばす訓練をリハビリだと思いこんでおられる方がたくさんおられます。 リハビリテーションとは、全人間的復権と日本語に訳されます。その意味は、いかに障害があろうと、その人が従前とかわらず活動し社会に参加にする暮らしや生き方を楽しまれることを指します。ですから関節の可動範囲を広げたり、筋力をつけたりすることはリハビリテーションの一部にすぎません。 生きていることを味わい楽しむ人生を送ることがリハビリテーションの究極の目的であるのですが、実際は、手足の機能訓練のみに明け暮れすることを望まれる方がいらっしゃいます。そういう方は一生リハビリの訓練士がそばについて身体を触っていないといけませんし、ベッドに寝そべって、手足を動かしてもらって満足という暮らしの段階から生活の楽しみが広がっていくようなことは起こりえません。 こういう方の暮らしぶりを「リハビリ漬け」「機能訓練漬け」と呼んでいます。 生きていることをもっと味わい、生活を楽しむことを知って頂き、真のリハビリテーション(全人間的復権)を果たして頂きたいというのが夢のみずうみ村の基本姿勢です。

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夢のみずうみ村物語 その9 従来のデイケアとデイサービスの目的のまとめ

従来のデイケアとデイサービスの目的をまとめておこう こうした目的をいかなる通所サービスも持っているわけです。 しかし、そのサービスの質は千差万別です。そこが問題です。こうした通所サービスの目的を担いながら、リハビリテーションという視点を明確に全面に打ち出した施設が我が村といえます。デイケアが2015年4月から個別リハビリをすると介護報酬が加算されることになりました。どういうリハビリサービスを提供すればいいのでしょう。 それは、目標指向的介護・リハビリテーションサービスであると夢のみずうみ村は標榜しております。詳しくはリハビリテーションの考え方のチラシ文句をご参照ください。

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夢のみずうみ村物語 その8 従来の通所サービスと夢のみずうみ村の発想比較(2)

従来の通所サービスと夢のみずうみ村の発想比較(2) バリアフリーという環境は、ノーマライゼーション(障害の有無にかかわらず共に生活できる環境づくり意識)の視点から大事な施設のあり方です。 しかし、そこもちょっと考える必要性がないかというのが夢のみずうみ村の個性です。デイサービスに来られるとバリア(障壁)が無くて動作がスムースに行えても、その日、我が家に変えると、家族と生活しておられる中、随所にバリアーがありますので動作の範囲が限られたりなさいます。 そこを何とかしたいと思うのです。夢のみずうみ村ではバリアを意図的に設けて、そこでバリアー克服方法をマスターして頂き、我が家での生活範囲を広げて頂けないだろうかという発想です。バリア有り環境と称しております。リスク(危険性)についても同様です。夢のみずうみ村には、家庭で遭遇なさるリスク(危険性)似付いてはあえて取り揃えておこうという明確な意図があります。詳しくは後述致します いかなる施設であっても、ご家族の側から考えれば、通所されている間に休むことができる環境をつくってさし上げることができるという理屈になります。それが主たる目的になります。ご高齢者を宅老所的施設にお預けになるということも大変大事な、重いケアプランであります。

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夢のみずうみ村物語 その7 従来の通所サービスと夢のみずうみ村の発想比較(1)

従来の通所サービスと夢のみずうみ村の発想比較(1) 従来のデイサービスの特徴を挙げてみました。 サービスをご利用される方が手の届かないところを援助させて頂く施設であることはいずれの施設も変わりはないのですが、お世話をさせて頂く施設という職員の意識は、手の届くところ(それはご自分でできる能力がある部分)まで手をさしのべてしまい、できる能力を徐々に奪っていってしまうという恐ろしい行為であるという実感が双方にないのです。 お世話をして頂ける施設では、何もしないでも一日衣食住が保障されるという生活は一見良さそうに思えますが、実は真綿で首を絞めるように徐々にできる能力を奪っているという恐ろしいことだと夢のみずうみ村では考えています。ですから、利用者ができることはご自分で行って頂くという大原則を掲げているわけです。 図にある、お世話をさせて頂く施設ということをわかりやすく表現すると、上げ膳据え膳方式ということになります。 上げ膳バイキング方式・セルフサービスとどちらがいいでしょうか。 上げ膳据え膳がいいに決まっています。本当にそうでしょうか? リハビリテーションの視点から申せば、できる能力を維持鍛えるということになります。ならば、バイキング方式、セルフサービス方式で、できない部分のみをお手伝いさせて頂くというのが望ましいと考えております。 集団一斉方式は、決してまずい方法ではありません。 特に痴呆傾向をお持ちの方や意識レベルが低い方にはかえって、マンネリ化したいつものやり方で導入されて集団プログラムで活動性を高めていくというやり方があります。重要なのは、そうした個々の利用者の方の能力レベルをきちんと判断し、その上で個別的な集団メニューを実施できるかということです。 十把一絡げ(じゅっぱひとからげ)のメニューを行うところに問題があるのです。夢のみずうみ村には、そうしたプログラム運営の機微に敏感な方々がお見えになります。ですから、どうしてもプログラムは個人個人で選択して一日の過ごし方を決めて頂かなくてはいけないわけです。 個々での典型メニュー例についてご存じない方のために紹介しておきましょう。 「北国の春」(遠藤実作曲 歌 千昌夫)の演歌にあわせ手足を伸ばしたりする全身体操です。日本コロンビアからテープが出た時は、我先に買い求め、「山口県痴呆処遇研究会」で紹介、指導したものでした。 ご存じ風船バレーもスポーツ競技としてとして楽しむレベルから、施設内でレクレーションとして楽しむレベルまで幅広くあります。全日本ふうせんバレーボール大会決勝を北九州で見たとき唖然といたしました。あるサリドマイドの青年が繰り出されるサーブやスパイクを、相手チームの指導員でスポーツ万能とおぼしき青年二人が開店レシーブをして必死に取ろうとしても拾えないのです。そういう風船バレーもあるのです。あの同じ風船です。いかに活用するかが課題です。 デイサービスメニューで全国共通メニューとして掲示した意味は、どこに行っても画一的というのは、どこかおかしいぞという警鐘の意味があるのです。夢のみずうみ村にお越しの利用者の方々はこうした画一したメニューを避けたいという明確な意思をお持ちの方々だと思います。 その8につづく

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夢のみずうみ村物語 その6 「バリアーあり」~(から)フリー という環境

「バリアーあり」~(から)フリー という環境 夢のみずうみ村には様々な建築面でのバリアーを意図的に設置しています。 実際に挙げてみますと トイレのタイル段差   浴室水切り段差 建物間の段差      床に這うコード 床にコンセント口    団地サイズ玄関 上がり框玄関      狭い通路(家具間)   などです。 家庭で遭遇するバリアはまず克服できないかを考えます。何とか、バリア(障壁)を克服するに超したことはないのですが、そのために相当のエネルギーを使うようだと実用的ではありません。 施設や病院ではバリアフリーが基本です。障害をお持ちの方でも自由に行動できる環境を作るのは当然のことです。 夢のみずうみ村で提唱している「バリア有りー環境」とは、 障害者の方が、いかにバリアを「克服するかの挑戦」をされるための場を提供しようという発想です。 ご自宅はバリア有りーの環境なのに、施設病院ではバリアフリーとしますと、当然、施設病院では可能となった能力も、自宅に帰るとさっぱりできないという方が大勢いらっしゃいます。そこで考えましたのが、せめて、施設や病院のリハビリ室だけはバリアをしっかり設定した環境ではいかがでしょうかという提案です。 そこで、バリア克服対策を練習したりするわけです。その結果どうしても無理であれば、バリアフリーを考えるというのは自明の理です。 夢のみずうみ村では、あちこちにバリア有りーを作っています。村で生活できる方はどこの劣悪な環境に入っても、何とか生活できるというものでありたいとは思っていますが、それほどまでに厳しいバリアーはさすがに設ける必要性がないようです。 バリア克服能力が高まるほど住宅改修の必要性は低くなります。また、自宅から外部に出歩いたり、旅行に出るなどの可能性が広がります。 なお、誤解されると困りますので申し添えておきますと、バリアフリーにすべきところをしないという意味では絶対にないのです。 当初、「村はバリア有りー施設です」と、先程述べた発想をいろいろなところで紹介しておりました。すると、車いすで全国歩き回っている友人夫妻から、「バリアー有りー施設というと、車いす来ないでよ」という感じがするといわれて愕然としました。 それで今は、「バリア有りーからフリー施設」という言い方をしております。 その7へ続く

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夢のみずうみ村物語 その5 雑然とした環境こそ家庭環境

雑然とした環境こそ家庭環境 家庭環境は、広々とした施設や病院環境と比べて、狭くて家具や物がいっぱい配置されています。生活感がする家庭ほど雑多な空間になっています。 夢のみずうみ村ではそういう雑多な空間を作りたかったのです。なるべく、家と同じ環境で、生活の仕方を再学習して頂くリハビリテーション施設でなければならないからこそ、雑多なのです。所狭しとテーブルや家具やピアノが置いてあるのです。その間をぬうように 利用者の方々は移動なさるのです。それをちゃっかり、「リビング2周」というメニューにしてしまうのがプログラムとしての仕掛けであるわけです。 家庭環境に近づけるための工夫 ① テーブル・椅子を同一のもにしない ② 電気・照明は長い蛍光灯が2~3本並んで付いている事務用のものには絶対にしない同一の物を使わない。家庭の各部屋が照明が違うようになるべく異なる照明器具を設置する ③ 茶箪笥を広い床面の随所に配備してコーナーとして仕切り、居室のイメージとする 等でした。 写真2(その4の写真)の中央にありますのは、電話ボックスです。これも、それからテーブルも、中古品の店から買ってきました。常に掘り出し物がないか職員一同が注視して、出物があると軽トラで買い付けに行きました。施設作りに参画するという意識が無意識のうちにこういう動きの中から生まれてきたのだなあと今思うのであります。 その6へ続く

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夢のみずうみ村物語 その4 元気になる環境をつくる

元気になる環境をつくる 元気の素は、職員のエネルギーがあるかないかにつきます。どういう職員が働いているか否かです。職員集団が醸し出す雰囲気が実は最大のリハビリの素であります。 もう一つの元気の素は建物の構造や、プログラム展開の仕掛け、プログラムそのものに潜んでいます。ではまず建物の作りをご覧ください。 施設でなく家という環境にしなくてはいけない理由は、リハビリテーションをする環境だからと答えています。日本家屋の象徴は、手の届くところに柱や鴨居があることです。ならば、合掌造りにしようということになりました。(本音は、お金がなかったので安上がりは合掌造りという背景もありました) 合掌造りには、白壁、漆喰(しっくい)というのが通例ですが、そういう和風パターンの住居になると、精神的に落ち着いてしまって元気が出る仕掛けにはなりません。そこで仕掛けとして登場するのが壁紙の青空です。雨が降っていても、冬でも夏でも一年中青空の中で元気になるという空間に仕上げてあります。

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夢のみずうみ村物語 その3 夢のみずうみ村の基本理念

夢のみずうみ村の基本理念 通所サービスの特徴をまとめると 図1の通りである。 病院に入院しておられる方や施設入所しておられる方に、リハビリの方法(生活の仕方、楽しみ方)を伝授させて頂いても、それをすぐにご自宅で実施してみていただくことは不可能です。何週間か後、あるいは何ヶ月か後の退院(退所)を想定して、それぞれの場所でシミュレーションでリハビリ訓練をします。 しかし、通所サービスでは、その日の内にご自宅にお帰りになるのですから、学習された内容を直ちにお宅で実施してみて頂くことを奨励することができます。そこが通所サービスを宅老所とするか、リハビリテーションの実習の場とするかの重要な視点の相違です。視点の相違というより、そこに気付かないまま、デイケアやデイサービスが長年行われてきたとはいえないでしょうか。 そこで夢のみずうみ村では、図2にお示しする様な理念を掲げました。 その4へ続く

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夢のみずうみ村物語 その2 利用者さんか 利用者様か

利用者さんか 利用者様か 昨今 病院では、患者様と呼び「さん」づけしない傾向があります。 「患者さん」と「患者さま」では何が違うのでしょうか。サービス業に徹するという意識を植え付けるには、「様」で呼ぶ法がいいのでしょうか。 「○○様 薬」と、紋切り型で喋ることは難しいです。「○○さん 薬」と呼べば案外通用しそうですよね。そこが、「様」で呼ぶようにしようという考えの根底にあります。 要するに丁寧語で喋ることが必要なサービス業の鉄則であるにもかかわらず、医療・保健・福祉の現場では言葉遣いの悪い輩が多すぎたのです。色々な接遇訓練とか、しゃべり方教室とかありましたが改善されない実態があるのです。そういう情けない実態を改善する妙案は「○○様」呼ばわりすることです。それが言葉遣いや態度を改善することに大いに役立っているのです。 夢のみずうみ村では「利用者様」と呼ばず「利用者さん」で呼ぶことに決めました。 お世話させて頂く施設ではないからです。生活する能力を磨く道場の様な場所感覚です。職員はそのお手伝い役、支援役、仲間、家族の一員に近い意識を持った隣人という感覚でありたいと考えました。ですから、「さん」づけなのです。 氏名を「さん」づけしなくても、我が村の職員はしっかり丁寧語でお話ができます。それができない施設は「さん」づけしないと大変なのだと感じています。 サービス業に徹するという思想が医療・保健・福祉の世界に徹底され始めることは実に結構なことだと思います。 この物語でも、以下、利用者さんという呼称で書いて参ります。いえ、書き進む内に「さん」がとれて、単に「利用者」と書いてしまう場合もあるかもしれません。客観的に記述すべき部分ではこうしたことが起きることを予めお断りしておこうと思います。 その3に続く

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